最近ウォーキングに目覚めた、30代デバッグ系男子のライフログの欠片のようなブログ

JASRACをはじめとした著作権管理団体がISPに音源監視用モジュールFluzo-Sを売りつけようとしている件、を冷静にまとめて考えてみた

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おはようございます。
ようやく仕事が忙しくなり始めてすでに死にそうな いろは( @iRoha168 ) です。

さて、今日はここ数日ネット界隈を賑わしている「違法ダウンロード罰則化」について面白そうな話題が転がっていたので、それについてまとめてみようかと思います。



フックになった記事はこちら。

痛いニュース(ノ∀`) : 【JASRAC】 違法音楽ファイルを自動検知 プロバイダーに導入要請 – ライブドアブログ

要約すると、
・こちらに違法音源検知モジュールがあります
・これを各インターネットサービスプロバイダー(ISP)で使用しているサーバーに組み込んでもらいたいです
・使用料は月5万円からとなります

そりゃ、「え、金取るの?www」ってなりますわw
これだけだと、少なくとも利があるのは著作権管理団体だけですからね。
たださすがに、いくらなんでも「ここまで誰も得しないこと」をやるとは考えづらいので、いろんな側面から整理してみたくなったのでした。

ということで、元記事を辿っていきましょう。

違法音楽配信に新対策–システムで違法ファイルを特定 – CNET Japan

こちらが元ネタでした。
痛ニューに取り上げられているものと比較すると、いろいろと割愛されていたことがわかります。

ざっくり書くと、アップロードさせるファイルを監視して、音源ファイルがアップされた場合、それをシステム的に精査して著作権法に抵触するものを自動削除する、というシステムのようです。

1.違法音楽探知モジュールFluzo-Sが、音源ファイルのアップロードを探知する。
2.アップロードされた音源ファイルから設定されている曲名やアーティスト名を取得する
3.さらに音源自体からフィンガープリント(FP)を生成する
4.著作権管理データベースFluzoに、2, 3で作成した検索クエリを投げる
5.Fluzoが検索結果をFluzo-Sに返す
6.違法音源と判定されたファイルをプロバイダー側が削除する

ざっくり流れを書くとこのような感じでしょうか。
手順としては妥当ですね。ま、そらそうかw

じゃ、どうやって違法音源だと判定するのか。多くの方が気になるでしょうね。僕も気になります。
著作権管理データベースFluzoに関しての記事が、同じくCNETにありました。

著作権処理インフラ「Fluzo」が登場、複数の権利団体の楽曲を一括処理可能に – CNET Japan

2010年の記事でした。
技術的な部分を引用します。

 2つ目は、音源ファイルから楽曲検索が可能となるフィンガープリント技術の採用だ。従来のテキストベースの検索では、曲名やアーティスト名が1文字違うだけでうまくいかないことがあった。今回、音源そのものから抽出したフィンガープリントデータを検索クエリとして使えるようになり、利便性が高まったという。NTTデータとグレースノートの技術を併用して精度を高めたとのことだ。

つまり音源データから検索クエリとして使えるようなデータ(フィンガープリント)を生成。
著作権管理データベースに置いている同様のデータと比較して、著作権管理されている音源データかどうかを判定するシステムのようです。
ちなみにフィンガープリントについても調べてみたところ、元々は「指紋」とか「拇印」とかの意味で、「特徴的な部分をピックアップして数値化したもの」なんだそうです。

実際、放送局なんかでは、このFluzoは使用されている例もあるみたい。業務として楽曲の著作権を取り扱う場合は、フィンガープリントデータさえ取得できれば、基本的には自動で楽曲情報を取得・生成できますから、結構便利なのかもしれないですね。

以上が、著作権管理団体が国内ISPに採用してほしいシステムの概要です。

次に、このモジュールよりもたらされる、各立場の利点を考えてみます。

著作権管理団体
・今まで管理団体が違法音源を探し出してISPに削除要請していたのが、その手間が少なくなる

インターネットサービスプロバイダー(ISP)
・このモジュールを組み込むことで、違法音楽ファイルによる著作権侵害を防止して、損害賠償責任について免責を得ることができる

一般利用者
・違法音源ファイルがアップされないようにすることで、間違って利用者が違法音源をダウンロードしないで済む

といったところでしょう。一般利用者部分はだいぶ好意的に書いてますがw

なお、利用料金については月5万円からと書いていますが、利用案内を確認したところ、利用実績に対しての従量制のようです。

参考: 一般社団法人 著作権情報集中処理機構 – Fluzoご利用案内 – 4. Fluzo 利用料について

この値段がぼったくりなのか適正料金なのかは、僕には判断できないので、そこは触れません。
この価格を毎月支払うことで、損害賠償責任について免責を得ることができるのであれば支払うか、という判断は普通にありえると思います。
上記手順6の削除部分も、自動的に問答無用で削除することにすれば、ISP側の手間も組み込み時ぐらいだと思うので。

ま、少なくとも著作権管理団体、ISP、利用者の3者に利点がある(ような気がする)ことはわかりました。

では最後に、問題点を考えてみましょうか。

まず、音源ファイルをZIPなどでアーカイブしてアップした場合はどうなるのか。
これは各ISPの規約次第なのかもしれませんが、無許可でアーカイブファイル内も調べていい的な条項があれば、検知対象となる可能性は高いですよね。
それによってサーバーに過負荷が掛かるようなら考えものですが。

適切に著作権処理されている音源や、そもそも著作権管理団体に管理されていない音源が間違って削除されたりしないか、という問題は、これはもうシステムの良心を信じるしかないかなぁという気がします。

最後にISPはこの要請を拒否できるのか。
これは、現状では受けざるを得ないのではないかなぁと思います。
やろうと思えば、拒否したISPすべてに「著作権侵害幇助」の罪を着せることができちゃいそうですので。

僕としては、適切に運用されるのであれば別にかまわないかなぁとは思います。
ただ、成立した法案も含めて、この違法ダウンロード云々でCDの売り上げが回復するとは微塵も思わないですし、2chまとめでもたくさん書かれている通り、著作権管理団体が「このモジュールを組み込まないと、君たち死ぬよ?」というオーラ全開でISPに組み込みを迫る(しかも有償)状況は気持ち悪いなぁ、という思いです。
例えるなら「お前たちを守るために用心棒を置いておいてやるよ、ただし用心棒の使用料は取るよ。あ、断ったらこの店潰すよ?」という感じですかね。
あれ、完全にヤクザだった。